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▼オフにいっぱい食べて大きくする?▼

 昔と今で大きな違いは減量法ではないでしょうか? 「秋から冬のオフシーズンには何でも食べられるだけ食べて身体を大きくする」というのが一般的でした。別人のような肥満体になり、とても他人に披露できる身体ではありませんでした。そのかわり、バーベルやダンベル、マシーンの使用重量を増し、実質的な筋量を増やしていたのです。
 そして初夏のころから急激に食事量を減らし、短期間で体脂肪を減らしていました。その差が20キロ以上もあった選手が多かったのです。夏のシーズン中は「脂肪や糖質を極端に減らす」「ササミやプロテイン、ビタミンやミネラルのサプリメントだけはしっかり摂る」という方向性がありましたね。試合直前のピーキング時に細心の食事管理をすることがボディビルダーの常識でした。
 けれども最近は「シーズンオフになっても体重はあまり増やさない」と決めている選手が多くなりました。その背景には次のような理由があったのです。

▼体重の増減は心臓に負担▼

 増加するのが脂肪であれ、筋肉であれ、体重が20キロ増えたとします。けれども内臓や関節は増えません。とくに肺や心臓は短期間に大きくなれないのです。
身体の末端まで血液を送るために、心臓はフル活動をしますが、毛細血管が少ない脂肪部分のために負担がかかり過ぎるのです。
「メタボになればなるほど心臓病や脳出血になりやすい」という事実からもお分かりでしょう。筋肉を見せる機会が少ないとはいえ、わざわざ肥満体になる必要はないのです。
さらに悪いことはオフシーズンにやっと適応できた心臓ですが、初夏になって急に栄養不足になると心臓の筋肉自体がペースを低下してしまうのです。

 1978年にミスター東京の栄誉に輝いた福岡章さんというボディビルダーがいました。少年時代から運動能力に優れて恵まれた筋肉と骨格に加え、人一倍の努力家だったので筋量が驚くほど増やせたのです。
ところがたった一度トロフィーを得ただけで栄光の舞台から降りてしまったのです。
「秋になって疲れがひどく、病院で診察を受けると心臓に負担がかかりすぎていた。筋トレを禁止された」と彼は悲しそうに語っていました。
筋トレ自体が悪いわけでありません。高齢になっても適度に筋肉を鍛えることで脂肪の蓄積を押さえます。血管を強くして血液循環を高めます。健康法として最高のものと私は確信しています。

▼冬でも誇れる筋肉を保とう▼

 福岡選手の心臓が悪くなったのは、冬と夏で体重差がありすぎたからです。肥満体を短期間に絞りすぎたからです。また、脂肪でなくても筋肉量が急に増えすぎた場合は危険です。あの北村克己選手が39歳の若さで急死した原因は心臓の負担と言われています。その理由はいろいろ考えられますが、短期間の20キロ減量が原因の一つでした。「自分は体重を増やしたり減らしたり、自在にできる」と自慢する人がいますが、短期間に10キロ以上も増減を繰り返すことはマイナスです。先に書いたように、内臓の大きさや関節の強さが追いつかないからです。
現在は「オフでも脂肪をあまり付けない」というボディビルダーが増えています。日本一を6年続けている鈴木雅選手が冬のイベントでポージングを見せていましたが、夏とあまり変わらない精進に心から感心しました。
体重差を少なくすることは大会出場にもラクです。筋量に適応できた内臓にも負担が少くて済むのです。人々から寒い季節でも称賛され、尊敬されることは嬉しいものです。

著者プロフィール

野沢秀雄(のざわ・ひでお)

1940年、京都生まれ。京都大学農学部、東京衛生学園鍼灸科卒業。健康体力研究所を創立し、現在顧問。主な著書に、「自己トレーニング法」(青春出版社)、「一週間でやせる本」(永岡書店)、「リアルエイジがわかる本」(永岡書店)、「スクワット超健康法」(講談社)。最新刊として「体の中から柔らかくすれば必ずやせて、病気にならない―野沢式やわらか体操」(ベストセラーズ)がある。

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主な職歴

昭和39年(1964)明治製菓株式会社入社
昭和51年(1976)健康体力研究所設立。所長。
昭和59年(1984)有限会社ヘルススサービス設立

情報発信

フェイスブック:https://www.facebook.com/hideo.nozawa.92?ref=br_rs

k.komatsu

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